オモイ
「どうだった?」
私は普段、
誰かから経験話を耳にしたとき
そう尋ねている。
最初は何故自分がそう聞くのか、
考えていなかった。
けれど、最近になって
その理由がわかったような気がするのだ。
だいたい経験話などは、その話し手が何をしたのか、そしてその後どうなったのか
といったことにより構成されているように思う。
きっとそれはごく自然なことなのだろうけれど。
然し、私は、
その話し手がその経験により、
何をどう感じたのか、どんなことを思ったのか、
ということの方が気になるのである。
大抵その話は面白い方へいく。大抵オチがある。
けれど、私にはそれは殆どどうでも良いことで。
話し手は皆を楽しませようとしているのやもしれなくて、
きっと、自ら、辛かったことや、自分がどう感じたのかということを
積極的に話すことをする人は滅多にいないのだろう。
自ら話すことに引け目を感じるためにそうしないのであれば、
私はそれを私が引き出したいと
そう思う。
目の前にいる人が、何によって何を感じ何を思い 生きているのか、
一部でも、そのことはその人をより深く知ることにつながると思うから
私は、それを出来る限り逃したくないから。
知りたい。